うちの子だけ“できない”のはなぜ?発達グレーの背景にある原始反射の話

うちの子だけ“できない”のはなぜ?発達グレーの背景にある原始反射の話

原始反射って何?発達グレーの子が“できない”理由が見えてくる話

「うちの子、どうしてこんなに落ち着きがないんだろう…」


「人の話が聞けない」

「感情のコントロールが難しい」

「集中が続かない」

そんなふうに悩んで、発達障害やグレーゾーンという言葉が頭をよぎったことはありませんか?

でも実はその“できなさ”——

発達グレーと言われる子どもたちの困りごと

の背景には、ある共通点が隠れていることがあるんです。

それが 「原始反射の統合」 です。

この記事では、あまり知られていないけれど、

実はとても大切な「原始反射」について、

分かりやすく、具体例を交えて解説していきます。


原始反射とは?

原始反射とは、赤ちゃんが生まれつき持っている無意識の反応のこと。たとえば、

  • 頬を触ると吸い付く「吸啜反射」
  • 手のひらに触れるとギュッと握る「把握反射」
  • 音や刺激にビクッと手足を開く「モロー反射」

などがあります。

これらの反射は、赤ちゃんが生き延びるための本能的な動きです。

通常は発達に伴い、生後数ヶ月〜1年ほどで自然に消えていきますが……

何らかの理由でこの原始反射が“残ったまま”になると、その影響が2歳、3歳、さらには小学生になっても現れ続けることがあります。

それどころか大人になっても残っていることは珍しくありません。

私にもまだ少々残っている反射があります😅


原始反射が統合されないと、どんなことが起きるの?

原始反射が統合されていない(=消えていない)場合、脳が本来の「考える・感じる・落ち着く」などの働きを十分に果たしにくくなります。

その結果、子どもに以下のような行動が見られることがあります:

  • じっと座っていられない(授業中に立ち歩く/ソワソワしている)
  • 触覚・音・光などに過敏すぎる or 鈍感すぎる(靴下を嫌がる/少しの音でパニック)
  • 感情の起伏が激しく、すぐ癇癪を起こす(思い通りにならないと床に寝転んで叫ぶ)
  • 音読や書き写しが極端に苦手(教科書を目で追えない、文字を飛ばす)
  • 人の話を聞いているようで聞けていない(話を遮る、関係ないことを話し出す)

実際、ある5歳の男の子は、「多動がある」と保育園でもよく言われていました。
でも調べてみると、モロー反射が残っていて、少しの刺激にビクッと反応し、それで手が出てしまっていました。

本人としてもやりたくてやっているわけではないので、とても苦しかったでしょう。

これは「わがまま」「育て方の問題」ではなく、発達の順番に抜けがあったサインだったのです。


「うちの子だけできない」の正体は、発達の土台不足の可能性

私たちが普段見ている“行動”というのは、あくまで表面に出てきた“結果”。

その裏には、

  • 姿勢の保持(正しく座っていられるか)
  • バランス感覚(転びやすさ・運動能力)
  • 感覚刺激の処理能力(音・光・触覚への反応)

といった「脳と身体の土台」があります。

たとえば、4歳の女の子で「よく転ぶ、階段が怖い、手先が不器用」という子がいました。
発達検査ではグレー判定。

でも実際は、赤ちゃん時代にうつ伏せの時間がほとんどなかったため、バランスに関する反射が統合されていなかったのです。

その子には、ある遊びを取り入れることで、徐々に安定して座れるようになり、手先の使い方も上達していきました。


なぜ、原始反射が残るの?

発達の土台がうまく育たない背景には、さまざまな要因があります。

  • お腹の中での姿勢
  • 早産やNICUでの入院経験(特に低出生体重児)
  • 運動不足やハイハイの不足、育児環境
  • 抱っこ中心で自由運動の少ない乳児期

たとえば、私の娘は双子でNICUに長期入院していたのですが、その後も寝返りやズリバイが極端に少ない赤ちゃんでした。


原始反射の名残が強く、常に体はガチガチ。(麻痺を疑ったほどでした)

朝は3歳近くまで大声で泣きながら起きたり、「特定の音に対して過剰に怖がる」「不安が強く離れられない」「偏食」など様々な課題がありました。

大きくなると、背バイ→いざりばいと進み、2歳近くまで歩けず「運動発達遅滞」と診断を受け、3年ほど療育にも通いました。

ですが、段階的に身体遊びや発達に沿ったアプローチを取り入れていったところ、見違えるほど落ち着いていき、今では逆上がりやダンスが得意な6歳に成長しました。

なので、小さい頃にできないことが多いからと言って「ずっとこんな感じなんだ…」と諦めることはありません。のびしろがたくさんあるんだなと受け取ってもらえると、その子の力にもなります。


原始反射が残っていたら、どうすればいい?

原始反射の統合におすすめなのは、「遊びによって、発達を伸ばす」アプローチです。
私は特別な道具や難しい訓練というより、日常生活の中でできる遊びや本人がやりたがる動きの積み重ねを大切にしたいと思っています。

なぜなら、そもそも本来、人は自分を成長させる力をもっていますし、子どもは自分の発達に必要な動きを知っているからです。

大切なのは、その動きを邪魔しない安心安全な環境(関わる大人も含め)をつくることだと考えています。

→記事:原始反射の統合にどんな遊びがいいの?


まとめ|“できない”の裏には、身体からのメッセージがある

子どもが“できない”のには必ず理由があります。

「怠けてる」「やる気がない」「性格だから仕方ない」ではなく、

  • もしかして、原始反射が残っている?
  • もしかして、感覚の土台が未発達?
  • もしかして、発達の順番がうまくいっていない?

そんなふうに、子どもを見る目線が変わるだけで、関わり方も、日常の捉え方も大きく変わります。

そしてなにより、

「この子には可能性しかない」と心から信じられるようになります。


▶︎原始反射や感覚の発達についてもっと知りたい方へ

お子さんの「育てにくさ」や「落ち着かなさ」には、必ず原因があります。

身体の発達について知っているとお子さんとのかかわり方が変わりますよ😊

どうやったらこの子の伸びしろを育てられるんだろう・・と気になる方は、はぜひご相談くださいね!

一緒に、お子さんの「伸びる力」を引き出すお手伝いをさせていただきます。